宮重法律事務所
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同幅員の交差道路において、互いに交差する道路から、交差点に向けて、直進する車両が衝突した場合の事故においては、速度に差がなければ「左方優先の原則」により、左方の側の車両が優先し(右の図では青色の方の車両)、双方の車両における基本の過失割合は、左方の側に立つ車両の方の過失割合が、4割、もう一方の車両の過失割合は、6割とされています(別冊判例タイムズNO38【101】。
では、左方の側(右の図では青色)が、交差点を右折しようとし、他方の車両が、直進しようとしている場合は、過失割合は、どのようになるでしょうか。
この場合は、別冊判例タイムズNO38【115】の類型に該当し、左方車(右の図では青色)の基本過失割合は6割、直進車である右方車の基本過失割合は4割とされています。
この点、左方車が右折車といえども、交差点中央までの進行形態は、右折合図の点を除いて直進車のそれとほとんど変わることがないとも見えます。
にもかかわらず、左方車が、右折車である場合の基本過失割合を、直進車の同割合より重くしたのは、右折車は、対向直進車や、左方車(右上の図では、赤色の車の対向車)との関係で、交差点中央において待機を余儀なくされる場合が多く、このため、交差点の通行をより多く遮断する可能性が大きい関係上、右方車(直進車)といえども、左方の右折車よりも、先に、交差点を通過させる方が、交通の円滑に適うためであるという理由によります。
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右の図のように、交差点の直進車が、交差道路からの右折車にとって、左方車にあたる場合は、直進車の優先性は、かなり明確です。
実際の交通状況においても、右折車は、あらかじめ徐行して、交差点中央まで進行し、交差点中央まで至ってはじめて、左方車の直進車と右方車の右折車の運転者同士の間で、相互に見とおしが容易になるから、その段階で、右折車は、直進車(左方車)との距離関係を確認し、タイミングをはかって右折するのが通常であるといえます。
そのため、このような進行形態において事故が発生した場合は、右方車である右折車(右の図の青色の車両)の基本過失割合は、7割、左方車である交差点の直進車両の基本過失割合はは3割とされています(別冊判例タイムズNO38【116】。
なお、このような場合には、左方優先の原則を定めた道路交通法36条が適用されるのか、右折車に対する直進車の優先を定めた同法37条が適用されるのか、見解が分かれるようですが、37条を適用する考えの方が優勢のようです。
上記の形態における実際の通常の車両の進行形態からしても、右折車に対する直進車の優先を考えるのが、実態に沿うものと考えられます。
もっとも、直進車両と対向右折車との基本過失割合が、20対80とされている別冊判例タイムズNO38【114】のと比べると、やや直進車両の優先性が少ないと見られます。