宮重法律事務所

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交通事故による死亡事例に関する裁判例の紹介

交通事故による死亡事案における損害賠償請求の特徴

ここでは、交通事故により、被害者が死亡された場合に、その相続人の方から、どのような損害賠償請求が可能かを、裁判例を紹介しながら、ご説明いたしますが、まず、死亡事案における損害賠償請求の内容の特徴的な点について、大まかにご説明いたします。

死亡事案においては、逸失利益の請求に関して、亡くなられた被害者の方の生活費に充当されるはずの費用分が、控除されることに特徴があります(生活費控除率と呼ばれます)。

死亡事案ではなく、被害者の方に後遺障害が残存したことにより、逸失利益を請求する場合には、当然、被害者の方の生活費分の費用も、現実に確保されるべきであり、加害者において、賠償すべき損害となりますから、このような生活費分の控除がなされることはありません。

もう1つ特徴的な点として、年金収入についても、逸失利益として請求が可能な点です。

被害者の方が、亡くなられたことにより、年金の支給が、ストップするわけですから、被害者の相続人としては、仮に、被害者が、事故により、死亡しなければ、引き続き、受給を継続できたはずの、将来の年金分の逸失利益を、相続したとして、加害者側に請求できるわけです。

もっとも、年金は、給与収入と比較すると、一般に低額であり、年金収入によって、家族全体を養うというよりは、ある程度、被害者自身の生活の原資として、支給されるという側面が強いため、給与所得の逸失利益を請求する場合と比較すると、年金収入の喪失による逸失利益を請求する場合の生活費控除の割合は高めに見積もられるのが、通常です。

さらに、給与収入による逸失利益を請求する場合の、損害の発生期間は、被害者が就労が可能な期間に限られる(67歳まで、あるいは、死亡時点の被害者の方の平均余命の半分の期間、いずれか長い方となるのが通常です)のに対し、年金収入の逸失利益の算定期間は、平均余命期間そのものとなります。これは、事故により、死亡しなければ、平均余命の期間の間、年金収入を受給できたと考えるので、当然の結論とはいえます。

また、被害者が死亡されたことによる慰謝料請求権は、被害者自身の慰謝料請求権を、相続人が、相続したとして、加害者側に請求するほかに、相続人や、被害者の近親者の固有の慰謝料(被害者の死亡により、近親者が精神的苦痛を被ったことによる慰謝料ということになります)の請求も認められます。

この死亡慰謝料は、被害者の家族における立場が、一家の支柱であったとか、そうでないか等によって、金額が異なることが多いと言われています。

そのほかに、葬儀費用の損害賠償請求も、認められることになります。

以上を念頭に、死亡事案の裁判例について、ご説明いたします。

交通事故による死亡事案の裁判例の紹介(被害者の方が、比較的高齢の場合)

  横浜地裁h25.11.28
事案の概要 h22.6.28事故。68歳会社役員の被害者は、原付運転中、後続の大型貨物車に、轢過されて死亡

①-1 逸失利益の算定における基礎収入の認定(年金以外)

事故前の4年分の役員報酬1125万円を認定

※被害者は、会社業務の受注、人員の配置、その他の管理業務を1人で行っており、利益がでた場合には、それを内部留保していたと認められるから、上記役員報酬には、不労所得(利益配当)に相当する部分はなく、上記全額が、労務対価部分と認められる。

①-2 上記逸失利益の算定にあたっての生活費控除率(年金以外)

40%

※被害者は、「一家の支柱」であったと認められるため

①-3逸失利益の算定期間(年金以外)

8年のライプニッツ係数

※ 平均余命の半分

①-4逸失利益の計算結果(年金以外)

1125万円×0.6(生活費【割合40%】控除後)×6.4632(8年ライプニッツ係数)

=4362万6600円

年金を基礎収入とする逸失利益の算定 97万4994円×0.3(生活費【割合70%】控除後)×10.8378(平均余命16年のライプニッツ係数)=317万0036円
死亡慰謝料

死亡した被害者本人分2100万円。

被害者妻分300万円、

被害者の子2名分の固有の慰謝料各200万円、2名分計400万円

合計2800万円

(「一家の支柱」である被害者が死亡した場合の死亡慰謝料額は、2800万円程度と説明されています)

葬儀費用

金150万円

実際にかかった葬儀費用は、344万円でしたが、一般に、150万円を上回る葬儀費用の支出があったとときは、150万円を請求できると判断される裁判例が多いです。

他方で、実際にかかった葬儀費用が、150万円を下回るときは、実際に支出した額を請求できることになります。

 

以上が、死亡事案における損害賠償請求が可能な項目の代表的なものになります。

冒頭で、説明したとおり、労働の対価としての収入については、その金額にもよりますが、逸失利益の算定にあたっては、生活費控除率は、40%と、低くなるのに対し、年金収入については、70%と高めに認定されています。年金収入は、それによって家族を養うというよりは、受給者本人の生活費の原資とされる側面が強いためです。また、逸失利益の算定期間は、労働の対価としての収入が、被害者の死亡時の平均余命の半分をもとに計算されるのに対し、年金収入についての逸失利益の算定は、平均余命期間をもとに計算されています。

 

死亡慰謝料も、被害者が「一家の支柱」である事案として、一般的な金額であるといえます。

この事案では、ほかに、被害者の子が、被害者の死亡に伴い、子の勤務先を休業し、有給休暇を使用したことに対応する損害賠償請求が、7万円程度、当該子の損害賠償請求として、認められています。

また、被害者が役員を務める会社は、被害者1人が、実質的に会社の業務を行っていたため、被害者が、稼働できなければ、会社の業務も行えず、また、他に代替しうるものもなく、経済的に一体であったとして、事故がなければあげえたはずの会社の利益(内部留保分)(事故前の過去3年分の純利益の平均分約658万円の3年分の賠償請求が、会社を原告とする損害賠償請求として、認められています。

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