宮重法律事務所

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将来の治療費について(交通事故による歯牙欠損の場合)

歯牙欠損によるインプラント手術については、将来の治療費の請求が認められる可能性が高いといえます。         

ここでは、交通事故により、歯牙を欠損された場合にかかる将来の治療費について検討したいと思います。

歯牙の欠損により、インプラント埋入と人工の歯(上部構造)を装着した場合、これで、一応治療が終了しても、その後、インプラントの再埋入や、人工の歯の再度の取り付け(更新費用)がかかる可能性は否定できません。

もっとも、このような更新が、何年ごとに必要になるかは、明確に予測することは、困難ですが、裁判例では、ある程度の期間経過ごとに、このような更新が必要なことを前提に、将来の治療費についても、被害者から、加害者に対し、損害賠償請求を認めています。

ここで、仮に、1回毎のインプラント交換費用が50万円(2歯分)かかり、さらに、人工の歯(上部構造)の1回毎の更新費用が25万円(2歯分)の合計75万円かかり、これについて、15年ごとに、60年間にわたって必要になると判断される場合は(被害者の症状固定時の年齢22歳)、その損害額は、以下のように見積もられます。

交換費用合計(Ⓐ)

ライプニッツ係数(Ⓑ)

Ⓐ×Ⓑ

75万円

 

0.4810

(15年後のライブニッツ現価表)

36万0750円

 

75万円

0.2313

(30年後のライブニッツ現価表)

17万3475円
75万円

0.1112

(45年後のライブニッツ現価表)

8万3400円
75万円

0.0535

(60年後のライブニッツ現価表)

4万0125円
 

合計

 

65万7750円

以上は、神戸地裁H25.1.10判決の内容を参考にしたものです。なお、ここでは、15年~60年後にかかる治療費の、事前に受け取るため、実際に治療費が必要になるまでの期間の間に取得可能な利息分については、控除する形になりため、これに対応するライプニッツ係数が定められるものです。

また、別の裁判例(横浜地裁H24.1.26)では、同じ問題について、20年ごとに、更新(再手術)が必要であるとして、25歳の男性について、平均余命53年であるとして、20年後と40年後の2回分の再手術費用を認めています。この考え方を、上記と同様の費用額を前提に当てはめると以下のようになります。

交換費用合計(Ⓐ)

ライプニッツ係数(Ⓑ)

Ⓐ×Ⓑ

75万円

 

0.3768

(20年後のライブニッツ現価表)

28万2600円

 

75万円

0.1420

(40年後のライブニッツ現価表)

10万6500円
 

合計

 

38万9100円

前の15年ごとの更新の必要性を認定する裁判例と比較すると、相当差が出ていることがわかります。この裁判例では、インプラント治療の施術の歴史が30年程度であり、耐用年数に関する明確な報告はないこと、一生取り換えなくてもいいとはいえない反面、最低でも10年は維持されるものとはいえることから、控えめにみて20年とするとの理由が述べられています。このような、将来の明確に予想しがたい事実にかかる将来の損害額については、一般的に控えめに見積もられるのが、裁判例の基本的な考え方でもあります。

また、仙台地裁H24.2.28では、インプラント更新について、20年ごとに、更新(再手術)が必要であるするほか、将来のインプラントメンテナンス費用が必要であるとして、平均余命までの期間のメンテナンス費用を認めており、その費用は年額約3万円であると認定しています。

事故当時、25歳の男性について、平均余命56年であるとして、初回のインプラント手術完了が、事故発生から3年後とすると、将来のメンテナンス費用の損害額は、以下のように、認定されます。

メンテナンス費用(Ⓐ)

ライプニッツ係数(Ⓑ)

Ⓐ×Ⓑ

3万円

 

18.6985(56年のライブニッツ係数)-2.7232(初回手術完了時事故日から3年後までの同係数)=15.9753

47万9259円

 

以上のとおり、メンテナンス費用を請求する場合は、このような算定方式になると考えられます。

このようなメンテナンス費用の認定については、仮に、裁判で請求する場合に、そのようなメンテナンスによる実際の通院歴も勘案されることになるでしょう。

いずれにしても、請求する際は、インプラントや人口歯の将来の更新費用とインプラントの将来のメンテナンス費用も合わせて請求するのが、最も適当な方法と考えられます。

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