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交通事故における過失割合の判断(路外からの進入車両と道路進行車両の場合)                  

交通事故における過失割合の判断(路外からの進入車両と道路進行車両の場合)

道路を進行する四輪と、路外から、道路に進入しようとした四輪との事故の基本過失割合は、20対80となります。    

路外から、道路へ、左折ないし右折進入しようとした車両と、もともろ道路を進行していた車両との事故は、よくある事故類型になります。

この場合、四輪車同士の事故であれば、基本的な過失割合は、以下のように定められています。

  路外からの進入車両 道路の直進車両 別冊判タNO38の事故類型
基本過失割合 80% 20% 【147】【148】

 

交通事故の過失割合(路外バイクと道路進行四輪の事故の場合)

さらに、これが、四輪とバイクの事故の場合は、基本過失割合は以下のようになります。

 

  路外からの進入車両(バイク) 道路の直進車両 別冊判タNO38の事故類型
基本過失割合 70% 30% 【219】

ちなみに、路外からの進入車両が、四輪で、道路の直進車両がバイクの場合は、基本過失割合が四輪とバイクとで、90対10とされており【218】、上記の四輪同士の基本割合に対し、一方がバイクの場合には、バイクが路外からの進入車両であった場合でも、あるいはバイクが道路の直進車両であった場合にも、それぞれ1割有利に修正されていることがわかります。

 

交通事故の過失割合(駐車区画からの進出車両と、駐車場通路進行車両との事故の場合)

このような路外からの道路への進入車両と道路内の進行車両との間の事故における基本過失割合の考え方は、駐車場内の事故における過失割合の判断においても、参考とされています。

すなわち、駐車スペース内から、駐車場内の通路へ進出しようとした車両と、通路内の進行車両との間の事故です(四輪用の駐車場内で四輪車同士の事故を想定しています)。

 

  駐車区画退出車 通路進行車 別冊判タNO38の事故類型
基本過失割合 70% 30% 【335】

駐車場内の事故と、路外施設から、道路に進入しようとした車両と道路の直進車両との間の事故と比較すると、1割程度、駐車区画退出車に有利に基本過失割合が定められていることがわかります。これは、駐車場内の通路と駐車区画との出入りは当然に予定されているという駐車場の特性を考慮し、通路進行車においても、駐車区画に駐車していた車両が通路に進入(前進・後退の別は問わないともされています)してくることを常に予見すべきであるという点が、考慮された結果、一般道と駐車場の通路の進行車両との比較においては、駐車場の通路の進行車両の運転者の注意義務を重く認めたものと考えることができます。

 

交通事故における過失判断

別冊判例タイムズNO38【147】等の類型においては、路外から進入する車両に有利な修正を行える場合として「頭を出して待機」という項目が設定されており、具体的な内容としては、「路外車が、そろそろ出てきて、道路に少し頭を出して待機した後、発進して事故になった場合である」とされています。

もっとも、実際の裁判においては、上記の路外車ないし駐車区画からの進出車両と、道路ないし駐車場内通路の進行車両との間の事故においては、いずれか一方が、停止していたのに、相手車両が、他方の車両の存在に気が付かず、あるいは、発見が遅れた状態で、移動を継続して事故になったと主張される場合も少なくありません。

そのような場合には、裁判所はどのような判断をしているでしょうか?

交通事故における過失割合の裁判事例

  大阪地裁S63.5.31
事案の概要 路外から渋滞道路に進入しようと道路に入ったところで、約12秒停止中、渋滞車両(四輪)の左側を進行してきた原付が衝突した
事故状況 路外車両は、道路に左折進入すべく進入予定の道路の外側線手前まで進出して停止後、約12秒経過した後、右方から進行してきた原付に衝突されたもの
過失割合 路外からの左折進入車両30%、道路の左側を進行してきた原付の過失70%

 

  東京地裁s57.2.25
事案の概要 路外の駐車場から出て、道路を横断すべく車道に若干、車首を出して、停車中の加害車に、加害者の右方から、道路の左側を進行してきたバイクが衝突した
事故状況

加害車両の運転者は、路外駐車場から、車道に進出しようとした際、約36メートルの距離に、被害バイクを発見したが、加害車両の前部を少し車道内に出した方が、被害バイクの運転者も、加害車両に気付きやすいし、また、バイクは、加害車両の前を十分通過できるだろうと考え、加害車両の前部を少し車道にはみ出させて停止した。

当日は雨が降っていたので、被害バイクの運転者は、少し下向き加減で進行し、前方に対する注意が十分でなく、被害者が加害車両を発見した際には、避ける余裕もなく衝突

過失割合 路外からの右折進入車両75%、同車両の右方からの道路進行バイク25%

上記2つ事例は、後者の事例について、加害車両の進入後の停止状態の秒数が明らかでないものの、基本的な事故態様においては、顕著に異なっているとも言いにくいように感じられます。

にも拘わらず、後者の事例においては、路外からの進入四輪と道路の進行バイクの基本過失割合90対10に対し、頭出し待機から、さらに、若干、四輪に有利に修正した最終的な過失割合の判断になっているのに対し、前者の裁判事例では、過失判断が基本過失割合から逆転したような内容となっています。

停止時間の長さが問題にされているとはいえ、一般的に参考できるものかどうかはやや疑問もあります。

当職が、実際に取り扱った事例の中でも、渋滞車両の間に入れるように路外の駐車場から、道路に進入しようとして、道路内に少し進入して待機したところ、道路内の直進の大型貨物車が、その左側の路外駐車場から進入しようとしている当該待機車両があることに気が付かないまま発進進行し、衝突したという事案がありましたが、最終的な判断は、後者の東京地裁の事例に近い内容となったようです。

これ以外にも、駐車場内の駐車スペースからの進出車両と、通路進行車両との間では別冊判例タイムズNO38【335】、通路進行車両が、停止していたのに、進出車両の運転者が、停止車両の存在に気が付かないまま、進出してきて衝突に至ったと主張される事案も少なくありません。

この場合にも、基本過失割合である駐車スペースからの進出車両と通路進行車両との間の70対30に対し、停止を主張する通路進行車両に対し、どの程度の有利な修正をなしうるかが問題となることが少なくありません。

駐車場内では、仮に、停止していても、クラクションを鳴らすなどして、相手車両に注意喚起すべきと判断されることが多く、停止車両といえども、過失なしとの結論に至る場合は多くはありませんが、上記のような場合に、停止を主張する側への有利な過失修正を10%にとどめるか、20%まで修正するかは、難しい問題となる場合があります。

 

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