宮重法律事務所

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交通事故における共同不法行為について

交通事故における共同不法行為について

交通事故は、2台の事故当事者車両の運転者同士が、それぞれ相手方に対し、被害を与えた場合だけでなく、2つの事故当事者車両の運転者の過失が競合することによって、さらに別の第三者に被害を与える場合もあります。             
この場合の被害を受けた第三者は、被害を受けた全額について、共同不法行為である各加害者それぞれに対し、その全額の支払いを求めることができます。           

交通事故の被害について、

複数の車両の運転者の過失のある運転行為が競合して被害発生に至ったり、

時間的、場所的に異なる複数の事故が影響して、被害が拡大する場合があります。

前車の場合は、典型的な事例として、よくあるものとして、交差点で、南北道路から、交差点に進入した車両Aと、交差する東西道路から、交差点に進入した車両Bとが、出合い頭に衝突し、衝突の反動により、車両Aの方が、交差点内から逸走し、交差点脇にある建物に衝突し、建物の所有者Cに対し、修繕費100万円の被害を与えたような場合があります。

この場合に、建物に被害を与える直前の車両同士の交差点における出合い頭の事故における過失割合が、例えば車両Aについて50%、車両Bについて50%、とされた場合、建物に衝突した車両Aの運転者A①は、建物の所有者Cに対し、その修理費100万円のうちの車両Aの過失割合50%に従った50万円のみを賠償すれば、Cに対する賠償責任を免れるのかという問題があります。

これに対する答えは、建物所有者Cは、被害を受けた、その損害額100万円について、車両Aの運転者A①に対しても、車両Bの運転者B①に対しても、いずれに対しても、任意に選択して、その損害の全額を賠償請求できるということになります。

これは、民法の共同不法行為の成立によるもので、複数の加害者が、客観的に関連共同性のある不法行為によって、第三者に被害を与えた場合は、その複数の加害者は、共同不法行為の関係に立ち、第三者の損害の全額を、複数の加害者のいずれかが完済しない限り、各加害者は、その不法行為における過失割合分だけ支払っても免責されないということになります。

交通事故における共同不法行為の被害者にも過失がある場合の処理について

2台の車両の共同不法行為による交通事故においても、その被害を受けた第三者自身にも、事故の発生について、過失がある場合があります。            
この場合は、第三者は、自己の過失割合分を差し引いた損害額について、共同不法行為の関係にある加害者に対し、請求できることになります。           

上記のとおり、複数の加害者が、共同不法行為の関係に立つ場合は、被害を受けた第三者の損害の全額を各加害者が、支払い完了しない限り、各加害者は免責されてない訳ですが、共同不法行為の関係に立つ加害者との関係において、第三者である被害者側にも、事故の発生について、一定の過失がある場合もあります。

例えば、片側2車線の道路の左側第1車線を進行していた車両Aが、道路脇に違法駐車された車両Bを直前で発見し、右側の第2車線によけたところ、車両Aの後続で、第2車線を制限速度違反で進行してきた車両Cと車両Aが衝突したような事案です。

この場合、車線変更車両Aと後続直進車両Cの衝突事故と捉えると、AとCの基本過失割合は、70対30になりますが、車線変更車両Aの車線変更は、違法駐車された車両Bを原因とするものですから、AとCの衝突の原因には、違法駐車した車両Bにも、10%程度の過失があると認定された場合は、AとBは、Cの被害に対し、共同不法行為の関係に立つことになります。

裁判になった場合には、車線変更車両Aと違法駐車車両B、Aの進路変更先の後続直進車両Cの過失割合は、例えば、A:B:Cで60:10:30、あるいは、Cの速度違反を考慮して、A:B:Cで、50:10:40と認定されたりします。

この場合、事故によるCの損害額は、例えば、10万円だったとすると、Cは事故の過失割合分である例えば、30%分を差し引いた7万円を、共同不法行為の関係に立つ、Aに対しても、Bに対しても、全額支払うように請求できることになります。仮に、Bが無保険で賠償の資力もなかったような場合でも、Cは、前記7万円の全額を、資力もあり、任意の自動車保険に加入していたAに対して、請求できるため、被害者であるCの保護が図られることになります。

民法上の共同不法行為の制度は、このように、客観的に関連性のある共同不法行為者間において、当該不法行為によって損害を与えた第三者の損害全額について、共同不法行為の関係に立つ各加害者全員に対し、賠償責任を負わせ、被害者の保護を厚くする制度であると言えます。

交通事故の共同不法行為者同士の求償について

共同不法行為において、自己の過失割合分を超えて被害弁償した加害者は、他の共同不法行為者であり加害者に対し、その超えて支払った金額を求償(請求)することが認められています。          
 

では、冒頭の例である交差点の出合い頭事故で、車両Aが、衝突の反動で、交差点外の建物に100万円の被害を与え、建物の所有者Cから、100万円全額の支払いを請求され、Aが、これを支払った場合、Aは、もともと、Bと衝突した際の過失割合について、50%しか過失がなかったのに、このCに対して、支払った100万円全額を負担し、後の50%の過失のあるBに何ら請求できないのでしょうか?

この点については、共同不法行為者間において、共同不法行為者の特定の一人の加害者Aが、第三者Cの損害の全額を支払った場合には、Aは、共同不法行為者間におけるA自身の過失割合分を超えて支払った金額について、共同不法行為者間における他の加害者に対し、その超えて支払った金額を求償することが認められています。

したがって、冒頭の例で、出合い頭事故の当事者である車両Aと車両Bの過失割合が、50%対50%であった場合、Cの損害額100万円の全額を支払ったAの運転者A①は、自己の過失割合分を超えて支払った金額(この例では、100万円のうち、A過失割合分50%を超える金額、すなわち50万円になります)を、他の共同不法行為者である車両Bの運転者B①に請求できることになります。

 

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