宮重法律事務所
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主婦である母親が、全面的に休業せざるを得ず、ベビーシッターを依頼した場合には、主婦の休業損害の代わりに、ベビーシッター料金の請求を認める事例があります。
幼児の母親が、事故による怪我のため、幼児の世話をすることができないため、ベビーシッターに依頼した場合に、ベビーシッター料金を交通事故と相当因果関係のある損害と認めることができるかどうかという問題があります。
これについては、下記のような裁判所の判断事例があります。
名古屋地裁27.4.17(確定) | |
事案の概要 | 交差点の出合い頭衝突事故、被害者は有職の主婦。頭部外傷、頚椎捻挫、左肩関節挫傷等 |
治療期間 | H23.3.11~H23.9.13 |
ベビーシッターの利用期間 | H23.3.11~H23.5.20 |
ベビーシッターに依頼した業務内容 | 子らの保育園の送迎、食事の準備等の家事育児 |
裁判で認定された損害額 | 上記期間のベビーシッター料金110万4485円 |
認定の理由 | 被害者は、事故による肋骨骨折、全身打撲による医師の安静指示により、家事労働をベビーシッターに委託する必要があった |
補足 | 上記ベビーシッター料金の損害を認めた期間については、さらに、被害者の家事労働の休業による休業損害の請求は別途認めない。9750円(平成23年賃金センサス355万9000円/365日)×60日=58万5000円の主婦の休業損害の請求を別途認めなかった。 |
上記事例では、ベビーシッターに家事育児を委託した期間について、医師の安静指示があったことが重視されています。裁判所は、ベビーシッターの依頼費用を事故と相当因果関係のある損害と認定しつつ、同じ期間について、被害者の主婦としての休業損害の請求は認めなかったものです。
なお、この点について、被害者側は、ベビーシッターによる家事代行は、1日数時間であるから、主婦の休業損害も別途認めるべきと主張されましたが、裁判所は、ベビーシッター料金の請求のみを認めたものです。
この事案では、ベビーシッターを依頼した期間について、被害者が、100%休業せざるをえなかったことを前提にしているため、仮に、100%に至らない、例えば、50パーセント程度の休業割合が認定されるにとどまるような場合には、ベビーシッターに依頼費用の請求額を減額されるか、あるいは、ベビーシッターの依頼費用を認めず、主婦の休業損害としてのみ認定する結論になる可能性も高いと思われます。