宮重法律事務所

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バイクと四輪のよくある事故類型の過失割合について

交通事故の過失割合(左折四輪と後続バイクの場合)

左折時のバイク巻き込み事故の基本過失割合は、四輪80、バイク20とされています                  

バイクが、道路の左側によって交差点を通過しようとしたところ、先行の四輪車が、後方左側のバイクを見落として、交差点を左折しようとして、バイクを巻き込んで事故になるようなケースは、よくある事故類型です。

この場合の基本過失割合は、四輪車が8割、バイクが2割と考えられています(別冊判例タイムズNO38【213】。

さらに、このような場合には、四輪車の左折合図の遅れや左折合図なしが落ち度として主張されたり、直進バイクの至近距離で左折したというような主張をされることはよくあります。

例えば、左折合図がなかったら、上記の80対20に対し、さらに、10%不利に左折四輪車側に不利な修正がなされたり、至近距離で左折したと認定された場合も「直近左折」として、10%不利な修正がなされることもあります。

では、左折「合図もなく」バイクの「直近で左折」したような場合は、10%+10%で、併せて20%左折四輪車に不利な修正がなされ、バイクの過失はゼロになるかというと、確かに、このような場合に、バイクの過失がゼロと裁判で認定されるケースもありますが、むしろ割合としては、双方が動いていたような事故態様で、一方の過失が、ゼロと判断されるケースは、それほど多くなく、むしろ、四輪車に合図なしや、直近左折が認められるような事案でも、バイクに5~10パーセント程度の過失を認める事例の方が多いかも知れません。

交通事故の過失割合(路外右折四輪と後続バイクによる右側からの追い越しの場合)

路外右折四輪の右側をバイクが進行して事故になった場合の過失割合は、四輪が、予め中央に寄っていたり、予め右折合図を出していないと認定されれば、四輪の方の過失が大きいと判断される可能性が高くなります                 

これと似たような類型でありながら、かなり過失判断が異なるのが、先行の四輪車が、路外に右折しようとしたところ、バイクが、先行の四輪車を追い越そうとして、四輪の右側を進行したところ、右折開始した四輪車と衝突したような場合です。

この場合、仮に、路外に右折しようとしている四輪車が、対面通行の道路で、道路の中央によって一旦停止し、あらかじめ右折合図も出していたのであれば、その車両の右側を、あえて追い越してバイクが進行しようとしたのであれば、バイクの方が過失が大きいと判断されると考えられます。

なぜなら、道路交通法28条2項によれば、このような場合には、右折しようとしている車両の左側を通行して追い越すべきとしており、バイクには、追い越し方法に関する法令違反があり、無理な追い越しをして事故に至ったと認定されるからです(別冊判例タイムズNO38【136】解説②参照)。

しかし、実際の事案においては、ことはそれほど単純ではなく、バイク側から、路外に右折しようとしていた先行の四輪車が、右折の合図をしていなかったとか、右折開始するに際して、道路の中央にあらかじめ寄っていなかったとか、前方で、急な右折動作を開始したとかいう主張がなされることが多いものです。

このように、先行する車両が、路外に右折しようとしているかどうかを、後続のバイクの運転者において、判断しにくかったと主張される事例は、結構多く、本来、追い越しは、先行車両の右側から行うべきとされていることからすると(道路交通法28条1項)、前方の車両が、なぜか低速で走行していたため、その右側を追い越したところ、予想外に、先行車両が、路外に右折してきたため、衝突に至ったという主張がなされるケースは結構あります。

このような場合には、路外に右折しようとする車両が、予め道路の中央によっていたかどうか、右折の合図を事前にきちんと合図していたかどうかを、判断した上で、過失判断がなされることになりますが、この点の事実認定が難しい場合も少なくなく、結果的に、路外右折の四輪車が、右折の際の義務を履行していたかどうかはっきりしないため、バイク側に相対的に有利な過失判断がなされるケースも少なくないようです。

交通事故による過失割合の裁判例(路外右折四輪と右側から追い越しをかけた後続バイクの事例)

裁判例としては、先行四輪が、路外に右折するため、右折合図を出していたものの、その先に交差点もあり、後続バイクにおいて、先の交差点で右折するものと考えてもある程度やむを得ないような事案について、四輪の右側を進行しようとしたバイクの過失を35%としたものもあります(京都地裁23.12.13)。

また、路外右折の合図や減速のタイミングが不適切であったとして、バイク(原付)の速度違反を認めつつも、バイクの過失を4割と認定するにとどめた事例もあります(静岡地裁24.4.27)

他方で、右折待機状態があった後に右折発進した四輪を、後方から、四輪の右側を追い越そうとしたバイクの過失を9割とした事例(東京地裁12.3.29)もありますが、この事例は、路外への右折車が、右折の際を義務(予め右折合図、予め中央寄り)果たしていた事案と考えられます。

交通事故の過失割合(直進バイクと、交差道路からの右折四輪との事故)

丁字路の過失割合は、四輪同士の類型を、バイクの場合は、1割バイク有利な形で主張すると、十字路の場合を適用するより、バイク側に有利な結論になります。   

右の図のような丁字路で、直線路を直進していたバイクと、突き当り路から、右折進入しようとした四輪との事故もよくある事故類型です。

この丁字路の場合は、別冊判例タイムズNO38【139】~【142】の直線路側の四輪の過失割合を、バイクに置き換える場合に、1割程度、バイク側に有利な修正を加える考えが妥当と思われます。

そうすると、普通に、道路の左側によって直線路を進行していたバイクと、右折して進行して、直線路に進入しようとした四輪の事故の基本の過失割合は、以下のように整理できることになります。

  丁字路の直線路の直進バイクの過失割合 突き当り路からの右折四輪の過失割合
同幅員の道路の場合 20 80
直線路が広路、突き当り路が狭路 10 90
突き当り路に一時停止規制あり 95
直線路が優先道路 0 100※

しかし、特に、下の2つはややはっきりしません。十字路の類似の形態である【205】(四輪に一時停止規制あり)【207】(バイク優先道路)では、それぞれ、バイクの過失割合は、15と10とされており、【139】~【142】を10%バイクに有利に修正した上記の表と比較すると、10%の差が出ることになります。ですから、バイク側の被害者側としては、【139】~【142】を1割修正すべきとして過失割合の主張した方が、有利になることになります。

交通事故の過失割合(右折進入四輪と、渋滞停止車両の右側を進行するバイクの衝突事故)

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上記にかかわらず、右側の図のようにバイクが、渋滞車両や停止車両の右側を進行しようとして、右折四輪と衝突する場合があります。

この場合、バイクが、例えば、反対車線にはみ出してしまったような場合には、バイクの過失割合はかなり重く見られることになります。

例えば、横浜地裁h24.10.18判決では、バイクが、渋滞車両の右側を反対車線にはみ出して丁字路交差点を直進通過しようとし、突き当り路からの右折進入四輪と衝突した事案について、優先道路(センターラインが交差点内を貫通)であっても、バイク側の過失を4割と認定しています。

東京地裁h13.11.14判決も、右折進入しようとした加害四輪が、交差道路右方から、左折して加害四輪のいた道路に進入しようとして停止した左折四輪がいたため、加害四輪が、交差点に進入しようとして、左折四輪とその後続四輪の右側を、対向車線にはみ出して追い越して進行しようとしたバイクと、右折の加害四輪が衝突した事案につき、バイク側が優先道路であったという事情にかかわらず、バイク側の過失割合を4割と認定しています。あえて反対車線にはみ出して前方の左折四輪を追い越して進行する場合は、交差道路からの進入車両が予見できる状況のため、交差道路からの進入車両に対する予見義務、注意義務が重く判断されることを前提にしているようです。

また、バイクが、反対車線にはみ出していなくても、ゼブラゾーン上を走行していたような場合にも、バイクの過失は重くみられる可能性が高くなります

例えば、大阪地裁h24.9.27判決は、丁字路ではなく十字路で、四輪側に一時停止規制がある事例ですが、右折進入四輪に対し、渋滞車両の右側のゼブラゾーン上を走行していた直進走行してバイクの過失割合を50%と判断しています。

類似の事例として、京都地裁h14.2.21判決は、丁字路交差点で、渋滞車両の右側を直進進行していたバイクと、突き当り路から、右折進行しようとした四輪の事故で、バイクの過失割合を50%としていますが、バイクの進路について、ゼブラゾーン上だったのかあるいは反対車線上だったのか、ゼブラゾーンの内側だったのかは、過失判断に影響しないとの趣旨を述べていますが、疑問がないではありません。同判決は、バイクがそのような進行方法をとると、交差道路からの右折車両から、バイクの発見がかなり困難となることを重視しているようです。

上記の京都地裁の考え方によれば、渋滞車両の右側を進行するバイクは、反対車線にはみ出していたり、ゼブラゾーン上を走行していたという事情がなくても、過失が重くなる可能性があります。

大阪地裁h11.12.9判決は、渋滞車両の右側を進行したバイクと、突き当り路から、一時停止規制に反し、一時停止せず、右折進入した四輪の事故において、バイクの過失を3割としています。バイク運転者側においても、突き当り路からの進入車両があることを予見し、これに対応した運転走行すべきと指摘されています

上記の京都地裁や大阪地裁の裁判例によれば、渋滞車両の右側をバイクが走行すること自体、交差道路からの進入車両がありうることからすると好ましいことではなく、このようなバイクの運転者において、交差道路の車両に対する予見、注意義務を重く見ていると考えることができます。

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