宮重法律事務所

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追突された車両に過失が認められる場合について(交通事故)

ETCゲートが開かないため急停車した車両に追突した場合には、追突した車両に100%過失が認められる可能性が高いと思われます。              

追突事故において、被追突車両に過失があるかどうかに関して、よく質問される内容として、ETCゲートを通過しようとした際に、ETCを挿入し忘れて、ゲートが開かなかったため、停止したところ、後続車両に追突されたという事故形態があります。

追突事故は、基本は、追突した方の車両の方が、前車との間で、安全に停止できる車間距離を保持しなかったことや、前車が、急停止した場合に備えて、追突をさけられるような適切な速度調整を予め行わなかったとして、追突した車両に100パーセントの過失が認定されるのが、原則です。

しかし、他方で、法律は、「危険を防止するためやむをえない場合」(道路交通法24条)を除き、急ブレーキを禁止しており、このようなやむを得ない事情がなく急停車した車両にも、一定の過失(四輪同士では、正当な理由がなく急ブレーキで停止した被追突車両に3割程度の過失を認めるのが基本になります)が、認められることもあります。

では、ETC挿入忘れの場合には、ゲートが開かなくて停止した車両にも、過失が認められるでしょうか?

一見すると、ETC挿入忘れ自体は、不注意であり、そのまま事故発生に対する過失として評価されるようにも感じられますが、急停車した直接の原因は、ゲートが開かなったことによるもので、ゲートが開かないために停車したこと自体は、急停車する「やむを得ない場合」に該当するように思えます。

実際、ETC挿入忘れの車両が追突された場合、被追突車両に、過失を認めた裁判例は、公刊されているものでは見当たらないようですが、その理由については、ETCレーンにおいては、もともと時速20キロメートル以下で走行することが義務付けられているほか、ETCレーンでは、何らかの理由で前車が急停止することがあることから、車間距離の十分な保持が後続車に要求されていることが指摘

されています(名古屋地裁H19.4.20、横浜地裁H20.12.19等)。

すなわち、ETCゲートは、設備の不具合やカードの挿入忘れ等の理由により、開かないことも発生しうるために、徐行義務が課されており、先にETCゲートを通過しようとしている車両との関係においても、当該前車が、ゲートが開かないことにより急停止することも予め予測して、車間距離を保持すべきことを求めており、これに反して、急停車した前車との衝突を避けられずに、追突した車両との関係においては、被追突車両の側には、過失が認められないとする裁判例が多数を占めるようです。

ETCゲートで停止している車両を見ると、後続車は、何となく、不注意な運転者をイメージしがちですが、実際に、このような車両に追突すると、追突した方が、一方的に悪いと判断される可能性がかなり高いので、注意が必要です。

その他の追突事故類型(交通事故)の検討

高速で動物が飛び出してきたからといって、後続車との追突の危険を考えずに、急停車するのは危険な運転行為と評価される可能性が高いと考えられます。     

このほかにも、道路を進行した際に、急に、ネコやその他の動物が飛び出してきた場合に、これを避けるために急停車した場合に、急停車した車両には過失があるかという問題があります。

これも、具体的な状況に応じて判断されるもので、一律に、過失があるなしを確定できないのではないかと思います。

例えば、山間部を通る高速道路を時速100キロで運転していた際、進路前方から、シカやイノシシが飛び出してきたため、急停車したような場合に、後続の車両から追突された場合には、急停車した車両も、過失がないとは言えないように思われます(私見)。

高速道路上の急停車は、後続の車両との関係でも重大事故につながり、被追突車両と追突車両の双方の搭乗者の生命にも影響しえますから、そのような危険を発生させてまで、シカや、イノシシとの衝突を避けるために、追突車両との危険を置いて、急停車すべきとは言えないでしょう。

他方で、一般道路の交差点を右左折進行する場合には、もともと徐行すべきことが要求されており、そのような場所で、右左折先の道路から横断するネコが飛び出してきたため、右左折車両が、徐行進行状態から、停止した場合には、そもそも、急停車と評価できるのかも疑問がありますし、後続の車両も、そのような場所では徐行すべきことが求められているのですから、先行右折車が、右折進行中、右折先にネコを見つけて停止した場合に、その後続右折車が追突した場合には、被追突車両が、正当な理由なく急停車したとして、過失を認められるかは疑問があります(私見)。

おなじように、狭い住宅街の路地を進行して車両が、その前を猫が横切った場合に、停車した場合にも、そのような車両は、もともと徐行しているでしょうし、そのような状態から停止しても、急停車といえるかはやはり疑問ですし、このような道路で、前車との間で、車間距離を詰めて、徐行義務を果たすことなく、進行していた後続車両が、猫が横切ったために停車した前車に追突した場合は、後続車の一方的な過失が認められる可能性が高いのではないかと考えられます(私見)。

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