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交通事故の治療として柔道整復師(接骨院・整骨院)の施術を受けた場合の費用と事故との相当因果関係について            

交通事故の治療として、柔道整復師(接骨院・整骨院)の施術を受けた場合の費用と事故との相当因果関係について

柔道整復師(接骨院・整骨院)で施術を受ける場合にも、病院でのリハビリと平行して行った方が、施術の必要性が肯定されやすくなると考えられます。       

交通事故により、怪我を負われ、痛み、疼痛を緩和するため、整形外科の理学療法ではなく、柔道整復師の施術を受けられるケースは少なくありません。

実際、そのような施術を受けることによって、神経症状による痛みが緩和されると感じられるケースも多いようです。

このような柔道整復師(接骨院・整骨院)の施術費用について、加害者に請求できる条件としては、

「症状により有効かる相当な場合、ことに医師の指示がある場合などは認められる傾向にある」

などと説明されますが、実際には、医師が、整骨院での治療を勧めることが、少ないと思います。

しかし、裁判所も、柔道整復師の施術費用についても、それなりに柔軟に認めているケースは少なくないと思います。

ここでは、柔道整復師の施術費用の必要性・相当性について、判断した裁判例を紹介し、検討したいと思います。

  大阪高裁h22.4.27
事案の概要

h19.4.2事故。被害者は、ホームセンター内駐車場通路を乗用車で進行中、左側の駐車区画からバック退出してきた加害車両と衝突。

頚椎捻挫の傷害を負った。

実際に、施術費用を請求する裁判を提起したのは、被害者から、施術費用相当の損害賠償請求権を譲り受けたとする柔道整復師自身

柔道整復師の施術状況及び施術費用

被害者Aについて、

施術費用147万4920円(h19.4.4~h19.9.21までのうち110日の施術)

被害者B(同乗者)について

施術費用33万4420円(h19.4.4~h19.6.30までのうち62日施術)

施術費用の単価についての裁判所の判断

当該柔道整復師は、施術料について、労災基準の2倍の施術単価を請求するが、

自由診療といえども、無限定に高額の施術料を徴収することは許されない

医師の診療治療を受けた場合の治療費を著しく超えることはできない

として

労災算定基準の上限額とする(請求単価の半分程度)と判断した

医師の診断内容

事故当時の医師の診断内容は

「頚部のだるさと頭重感」

「頚部捻挫により向後約2週間」

施術した柔道整復師の診断

問診票での痛みが「首、肩」

柔道整復師の診断は

「頚部捻挫、腰部捻挫、胸部打撲、左手関節捻挫及び左膝関節打撲」

被害者の症状および妥当な施術の範囲についての裁判所の判断 頸部捻挫にとどまる。上記柔道整復師の診断に基づく施術は過剰な施術とし、施術の範囲を制限、事故と相当因果関係のある施術の期間も、医師の診断による事故から2週間に制限した
認定額

被害者Aについて、事故日から2週間の範囲内の6回分合計2万8920円

(一審が認定した妥当な施術費用は被害者Aについて67万2300円)

被害者Bについてはは0円

事故当日、被害者Aとともに、医療機関を受診。左肘打撲と診断され、対症療法をする程度と診断され、翌日の受診はなく、受傷軽微、施術費と事故との相当因果関係は認められない

(一審が認定した妥当な施術費用は被害者Bについて19万7052円)

上記事例においては、柔道整復師は、労災基準の2倍の支払いを、被害者と約束し、さらに、被害者の損害賠償請求権を譲り受けたとして、施術した柔道整復師自ら、加害者に施術費の請求の裁判を提起する状況で、事案として、少なからず特異な印象があり、一般化までは難しいかも知れません。

ただし、一審が、全額でないにしろ、(施術費の単価を削った上で)相当程度、施術費を認め、施術期間についても、全期間を、事故と相当因果関係があると認めたのに対し、

高裁が、被害者Aについては、2週間程度の範囲にとどめ、被害者Bについては、全く認めなかったというのは、この事案の特徴的なところになります。

高裁の判断においては、施術費の相当性の判断において、医師が相当とする治療期間を重視する立場を示しているともいえます。

このような判断があることからしても、柔道整復師の施術を受ける場合であったも、病院のリハビリを平行して行うのが無難であり、全く、病院に通院せずに、専ら、柔道整復師に施術を受けた状態で、その施術費用を請求した場合に、事故との相当因果関係を争われるリスクが高くなることの認識が必要であると考えられます。

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