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交通事故による高次脳機能障害の裁判事例

交通事故による高次脳機能障害の裁判事例(1級)

 

 

東京地裁h25.1.30
事案の概要 h14.11.21事故発生。被害者女性(事故当時59歳)自転車と四輪の衝突事故。脳挫傷を負い、左完全片麻痺、中ないし重程度の認知障害のある高次脳機能障害の後遺障害を残して、h18.10.31日症状固定
入院期間 1441日(4年弱)
自賠責の後遺障害等級 1級1号
自賠責の等級認定にあたっての補足的な考え方

1級;身体機能は残存しているが、高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの

比較;2級「著しい判断力の低下や、情動の不安定などがあって1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的に、排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができない

事故の治療状況、高次脳機能障害の状態

h14.11.21の事故後、脳挫傷により、減圧開頭術、頭蓋形成術等の手術を受け、h15.4からリハビリのため、A病院に入院したが、

高次脳機能障害の症状による被害者の暴言等により、転院を余儀なくされ、

B病院にh18.3.17から現在まで入院

被害者は、h18.10.31高次脳機能障害の後遺障害を残して症状固定

左完全片麻痺により

移動には車いすが必要であるが、ベッドや車いすを抜け出す行動がみられ、安全ベルト使用

高次脳機能障害による記銘力・記憶障害も著しく時折、興奮し、薬物療法により対応

医師の意見は

自立的な社会生活日常生活を送ることは不可能、介護福祉施設に入所して、介助者の援助のものでの生活が望ましい

付添看護費

日額6500円×1441日=936万6500円

入院先が完全看護の病院であったとしても、入院期間を通じて常時付添看護の必要があった

具体的な看護状況

被害者の子供は、平日は仕事帰りに、休日は自宅から病院に行き付添看護

被害者の別の子供は、事故から半年は実家(被害者宅)に戻り、その後は、自宅から、被害者の夫を連れて、

週2回ほど病院に行くなどして付添看護

被害者側から、別途、付添人の交通費合計107万円余の請求がだされたが、付添が、子供2人と夫の分を合わせても、入院期間を通じて、毎日行われていたとまでは認められないこと等も考慮され、別途、付添人の交通費は認めず、上記日額6500円の入院日数分1441日分の認定となった。

 

症状固定後の入院費用 800万9070円(争いなし)

将来介護費用

 (施設費用)

利用料年額336万円(月額28万円×12)

336万円×(14.0939【症状固定時h18.10.31当時63歳からの平均余命年25年分(切捨)のライプニッツ係数】-5.7864【症状固定時から施設入居日h25.3まで7年のライプニッツ係数】)=2791万3200円

※ 被害者は、h24.12.21の本訴訟の口頭弁論終結時点では、病院に入院中で、施設に入所していなかったが、訴訟の結果、施設費用の賠償が認められば、施設へ入所(転居)する蓋然性が、高く、h25.3には、施設入所する蓋然性が高いことを前提に、口頭弁論終結時に現実に発生していた入院費用月額13万0800円より高い、施設入所料月額28万円を前提に、h25.3以降の将来の施設介護費用の賠償請求を認めたもの

別途

13万0800円×4=52万3200円

h24.11~h25.3の4か月分の入院費

 

将来介護費用(施設費用) 入居一時金1500万円(h25.3~症状固定時(h18.10.31)後7年(h25.10.31まで)の将来介護月額を含む)
将来介護雑費

年額71万1500円×14.0939【症状固定時h18.10.31当時63歳からの平均余命25年分のライプニッツ係数】-5.0757【症状固定時から、h24.11までの6年のライプニッツ係数】

=641万6449円

休業損害

351万8200円(事故発生当時のh14の女性平均賃金、家事従事者)

日額9339円×1441日=1388万9799円

逸失利益

291万7625円(症状固定時h18の女性全年齢平均賃金343万2500円の85%、症状固定時63歳)×100%×9.3936(平均余命の26年(切上)の半分の13年のライプ係数

=2740万7002円

後遺症慰謝料

2400万円。別途近親者固有の慰謝料を子供2名につき、各100万円、夫分を200万円、

以上合計2800万円(1級の一般的な後遺症慰謝料額と同じ)

上記事例においては、判決前の口頭弁論終結時点においては、被害者は、施設入所費用の半額程度の病院に入院していたことから、将来の介護費用の算定にあたって基礎とすべき月額単価(入院費月額13万か、将来の施設入所を前提とした施設費用月額28万円か)の認定が、損害の認定にあたっての主な争点となったものと考えられます(過失割合の点をのぞきます)。

また、将来の介護費用を算定するにあたっての期間認定の方法や、入院介護から施設介護に切り替わる見込み時期に応じて、細かな金額の振り分けにあたり

入居一時金の額を調整したり、

病院介護から、施設介護に切り替わる時期までの、

介護費用月額を細かく認定するなどの方法が参考になります。

入院中の付添介護費の認定にあたっては、上記に記載したほか、介護者である家族の生活や、心身への多大な影響があったことが指摘されています。

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